「・・・さむっ!」
ベッドの上に起き上がっての、第一声がそれだった。
窓の外は蒸気で真っ白に曇っている。
ベッドから這い出しかけて、あまりの寒さに一瞬足がすくんだ。
その隙を狙い済ましたように、ベッドの中から二本の腕が伸びてきて、背後から私をむぎゅっと掴んだ。
「ルヴァ・・?・・・起きてたの?」
振り向く間もなく、ずるずるとベッドの中に引きずり込まれる。
「ちょっとぉー。ルヴァっ!何するんですかー?」
「まだ早いですよー。いいじゃないですか、そんな早起きしなくても・・・・。」
毛布の中からルヴァの半分寝ぼけた声が聞こえる。
「そんなこと言ったって、今日執事さんお休みだし、朝御飯の支度が・・・・」
「後ででいいですよ、そんなもの・・・。」
寝ぼけてるのをいいことにワガママすれすれの強引さだった。
私は無理やりベッドの中に引きずり戻された。
腕の主はバサっと私の体に毛布をおっかぶせた後も、一向に引き寄せる力を緩める気配はなく、私はとうとうずるずるとルヴァの胸の中までたぐり寄せられしまった。
「・・・・捕まえた。」
満足そうに笑うと、声の主はあい変わらず私を後ろから羽交い絞めにしたままで、再び安らかな寝息を立て始めた。
「ねえー。どうせ寝るんだったら離してくださいよぉー。」
「・・・・あと30分。」
「30分でも1時間でも寝てていいですからぁー。私は起きるんですよー。」
「・・・・・・・・」
「もー。朝御飯抜きですよー。」
「・・・・・・・・」
「も〜お〜。」
しょうがないから私はあきらめて毛布の中でくるっと半回転した。
ルヴァのパジャマの胸の辺にことっ、とおでこを押し付ける。
ここは世界中で一番あたたかい場所だった。
待ち構えたようにルヴァの両手が背中に巻きついてくる。 ルヴァの顎がことっ、と私の頭の上に乗った。
「ねーっ、起きてるんですか?寝てるんですかぁ?」
「・・・・・・・・」
聞いているんだか、いないんだか・・・・、ルヴァは平和な寝息をたてている。
しょうがないなぁ・・・・。
本当に観念した。
本当に寝ちゃうから・・・・・。
私は、起きるのを断念して、そこだけは常春みたいなルヴァの胸にぴったり頬を押し付けると、欠伸をしてもう一回目を閉じた。
まったくもう・・・・クリスマス・イヴの朝だっていうのに・・・・。
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