泣く事も適わない・・
強過ぎる、貴女への想いが・・
今もこの胸を優しく掻き毟るから。

貴女に触れても宜しいのですか?
この指で。
この唇で。
貴女の愛を乞うても構わないと、
貴女は・・そう、おっしゃるのですか?

私の罪ごと・・抱き留めて下さいますか?

貴女が、小さく頷いたので・・
とうとう私は、溢れてしまった。

柔らかな涙で濡れた頬を指でそっと拭う・・
私の心の震えがそのまま指をも支配する。
貴女には伝わっているに違いない微かな振動・・

きっと、私は情けない顔をしていたんだろう。
貴女は、ふふっ、と微笑んだ。
此処へ来てから見せた、初めての微笑み・・
私を魅了してやまないその笑みを浮かべ、すっと瞳を閉じる。

そっと頤に触れ、ほんの少し・・上を向かせると爪先立ってくれたのが解った。
先程よりもずっと甘美な接吻・・
触れるだけのつもりが、いつしか角度を変え、深さを変え、探り出さない場所もない程の激しさになるのはすぐ・・。

「このまま・・貴女を壊してしまうかもしれませんよ?」

「私、そんなにヤワじゃありませんっ。・・
そ、それに・・ルヴァ様になら・・平気です。」
すっかり候補時代に戻った、風に強がっている・・そんな口調でさえも・・
まるで甘美な暴力のように私にしっとりと染込んでいく。

溢れる愛しさにどうにかなってしまいそうな衝動をもう、押さえられそうもない・・

そっと、抱き締めていた片手をドレスのファスナーを引き下ろすために滑らせる。
鍵留の外れる微かな音に『大丈夫』と言った筈の貴女が、ほんの僅か身じろぎするのが、添えられたもう片方の手の平越しに伝わる・・
衣擦れの響きが、これから起こる出来事を貴女に伝えているのだろう・・
彼女らしいレース使いの小さな下着と両の手で隠されている以外の肌は、
深紅の薔薇の花弁をひとひら溶かし込んだようにうっすらと上気している。

「手を・・外して下さいませんか・・貴女を・・貴女の全てをこの目に焼き付けてしまいたいのです。」

頬に朱を走らせながらも貴女は、ゆるゆると腕を下ろし、かわりに形の良い小振りの果実が、私の目の前で触れられる時をそっと待っている。
「・・ああ・・」
その、あまりの煽情さと美しさに私は、言葉も出ずに感極ったような溜息を思わず洩らした。

蒼い月光に浮かび上がる儚げなシルエット・・私だけが、触れる事を赦された天上の華。
私の視線に晒されて所為で恥ずかしさに真っ赤になった貴女は、口を尖らせて、
「///私ばかり、・・ずるいです。//」
と、小さく言った。

それでも、貴女を探り始めたばかりの私は、とても貪欲に為っていて・・
聞き入れることなんて、とても出来そうにない。
私は、聞こえない振りを決め込むと黄金色の髪に手を差し込んで絹糸を掻き揚げ、耳元に囁いた。
「綺麗ですよ・・とても・・どうしてよいか解らなく為りそうなほど・・。」
そのまま、耳たぶを甘噛みすると、
ひゃっ・・と、貴女が小さく鳴いた。

まろやかな果実を包み込むと、貴女の軽い緊張が触れた手の平越しに伝わって来る・・
それでも、柔らかさを味わうようにほぐすと紅桜の頂が、誘う形に硬く立ち上がった。

ちゆっ・・口の中にさそわれるままに含み、舌先で転がす・・
空いている方の実も勿論そのままになどしない・・ 親指の腹で強弱をつけて擦ったり摘み上げたりを繰り返した・・と、ますます硬度を増す頂が、彼女が感じていることを私に教える。


胸だけの愛撫でも貴女はもう息を乱し初めた。
「あ・・あっ・・はあ・」
縋るものを探す両手が、私の肩と頭に触れる。
「貴女の・・手で・・取って・・頂け・・ませんか?」
すっかり硬くなった実を交互に舌先で突付き、軽く噛み・・くぐもったままで頼むと、
一泊おいてサラリと頭上が軽くなった。
時折触れる柔らかな指先も心地良い・・

深く唇を合わせ、舌を差し込むとおずおずと貴女からも応えるように絡める仕種が愛しかった。

すっかり潤んだ瞳は、もう立っていられないと訴えているようだっだ。
もう少し・・と思う気持ちも無くはなかったが、微かに膝が震えて貴女はかなり辛いようなのが解ったので寝台へと抱き上げた。

トサリ・・そっと、天使を寝台に横たえる。金の髪が、月光を弾いて緩やかに跳ねて拡がる。
どんな花の香りも敵わない貴女の薫りも・・
私を魅了する上気した肌も・・
知らずに私を誘ういつもより浅い吐息も・・総てが、とても愛おしく・・美しかった。

そこに存在を赦された者かどうか、疑問に思われるくらいに・・

私が、どうしようもなくなってしまった気持ちに急かされるように衣服を脱ぐ様子を
貴女が恥らって見ないようにしてるのが、初々しくて、つい悪戯心が湧きそうになる。
「こっちを向いて下さいませんか? 見て頂きたいんです。 貴女に魂を盗られたありのままの私を・・」
「はい・・」
にっこりと微笑んで貴女が両手を差し伸べて、私の首筋に絡まる
新緑の瞳一杯に私だけが映る至福・・
もし、自分の滅する瞬間を自由に選べるのなら・・きっと今を迷わず選択するに違いない。

触れ合う胸と胸が、互いの鼓動の高鳴りを伝え合う。
淡い繁みを越えて触れるともうその場所はすっかり蜜を湛えてしっとりと潤っていた。
指に雫を絡めて花芽を擦るとそのたびに華奢な身体が敏感に反応する。
昂ぶった自身を花園に宛がうと軽く溝に沿って滑らせると溢れ出た蜜が纏わり付いて滑らかに快感を伝え合う。
「・・いいですか?・・私に委ねて・・」
貴女は、立て続けに与えられる快感に翻弄されて、声の立てられないまま・・それでも小さく頷いた。

そこは狭くて・・先端を差し込んだだけでもアンジェが破瓜の痛みに顔を歪めてルヴァに縋りついた。
「いっ・・たっ!!」
「くっ・・アンジェ・・力を抜いて・・」
長引かせればそれだけ苦痛も長引く・・
そう判断して一息に腰を押進める。
「あああっ!」
衝撃に耐えようとアンジェの指に力が篭り・・
ルヴァの背に幾本のも赤い爪痕が走った・・が、その痛みさえ凌駕する快感がルヴァの全身を貫いた。
根元まで自身を埋め込むと一つ息を吐いて、汗でぺったりと張り付いたアンジェの前髪を剥がし・・濡れた頬をそっと拭った。
「辛い・・ですよね・・でも私は、抑えられないんです・・もう、少しだけ・・我慢していただけますか・・」
「痛いけど、私嬉しい・・ルヴァ様と・・ルヴァ様が私の中で一杯になっているんですね。」
「ええ・・私も幸せです・・私達は繋がっているんですよ・・愛してます永遠に・・アンジェ。」

アンジェが、私も愛してる・・といってくれた言葉を切っ掛けにして、私は再び動き始めた・・
淫靡な水音が吐息の合間に耳に届く・・
貴女の声が艶を取り戻し、それにつれて私を追い立てる。
心地良い痺れを与え、奪い、貪り、心まで満たして、しだいに上り詰めていく。

「ああ・・やあ・・んも・・もう・・」
「イきましょう・・一緒に・・」
それから間も無く二人は光の渦に包み込まれた・・・





強過ぎる貴方への想いが・・
今もこの胸を優しく掻き毟るから、
光あれ・・と、
この命の果てるまで、願いましょう。
貴女の心が満ちるこの宇宙(そら)の元で・・


暁の光がそっと窓辺から差込む・・
未だ二人はまどろみの中に彷徨っている・・

彼らが、進む道にはまだ幾つもの困難が待ち構えているけれど・・
その朝は、確かに幸福へを行程を一つ進ませた安らぎに満ちたものだった。


FIN



■ロンアルより〜

やばい・・・やばいですよ!まちこさん!(笑! )
文章をレイアウトしながらドキドキしちゃって・・・!!
もはや論評は不要でしょう!
「愛してる」の行き着くところ!与えることでしか得られない悦びがあるのです!
山積みの困難を抱えても、満たされて幸せなふたり・・・。愛があればきっと無敵でしょう!がんばれ!ふたりとも!
そしてまちこさん!素敵はお話を有り難うございました!

 




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