瑠璃

握り潰してしまって良いんだよ?
君を当てにしてばかりのクダラナイ平穏なんて。

君の意に染まぬ現実など・・
何の意味も無いんだ。

ねぇ・・・どうして・・
誰も疑問に感じないんだろうね?

慈愛を撒き、慈しみを総べる女王のみが、己の愛する者を持つ事を忌避しなければならない・・

それが持つ矛盾と皮肉を。

それとも・・
何か、あったのかもしれないね。
僕には解らないずっと過去に・・
それでも・・僕は、別に構わないさ。
僕等に関係ない事だからね。

僕だけが気付いた・・・君の孤独に。
君が―もう、とっくに厭いてしまってるんだ・・って。
君の本当の望みは何なのか?
っていうのもね。

どうしてかって・・
それは・・誰よりも、
何よりも君を見ていたからさ。


僕の魂は君のそれを捕らえて、
感じた・・

僕が、僕で在るが故に。

君は優しいから・・
哀しい位に優し過ぎるから・・

ぼろぼろになってしまった翼でも、
この宇宙を包もうとするんだろう?

胸の奥底に、まどろみ続けている望みを、存在しない振りをして
愛を振り撒き続けるんだろう?
いつまでも・・

君自身さえ騙して。

だから・・僕が、かわりに叶えてあげる。
そのために僕は来たんだ。
この、宇宙一麗しい牢獄へ・・・

僕は・・君が、始め・・
望んでここに昇った事だってちゃんと知ってる。
でも、僕は君じゃない。
そして・・今は、始めじゃない。

ねえ・・
人は誰でも、
自分で自分の存在理由を
見出すものだよね?

僕だけにしか出来ないし、
僕だけにしか赦されない。

僕は・・君の総べるこの宇宙(そら)に君を解放する為にうまれたんだよ。

それが僕の存在理由――。


君の望みが叶うのなら、
他には何一つ望まない。
君の願いの成就以外に、
一体・・何を欲しがる必要がある?



ゆっくり・・お休み・・
罪なら・・全部、僕が持って行くから・・
確かな感触が・・この手の感じる手ごたえが
ただ一つの僕の真実。

君の胸に咲く深紅の花が
しっとりと花弁を拡げていく。

絶えて久しい微笑が、やんわりと
僕の手で君に灯っていく・・
これ以上の歓びを僕は、知らない。

『あなたを愛してる。』
君が最後にくれる言葉と、
僕が最後に捧げる言葉は同じ。


     ****

心配しないでいいんだよ・・

僕は、君のいない場所になんて、
いささかの魅力も感じはしないんだから。

平気だから。
痛みよりも君の元へ逝ける悦びの方が何よりも勝っているのだから・・
君は、待っていて・・あの頃みたいに。
それほど長くは待たせない・・・よ。


大丈夫だよ・・ちゃんと解ってる。
君が愛されたがってるって・・・
ねぇ・・安心して・・・君を愛してるから・・・誰でもない君自身を・・
永遠に・・・。


FIN




■ロンアルより!
いただいてしまいました!またしても!3万ヒットを記念して、まちこです。さんが書いてくださいました!”ご無体”シリーズ(?)第二弾っ!
この方はどなたか?もう皆さんお分かりですねー?
以前管理人が「禍縄」をいただいたとき『他の方のご無体も見てみたい!』といったのを覚えていらして、書いてくださいました〜!
我が儘な様で、実は愛情深い・・・道義も常識も軽々と飛び越えて、本当に愛する人が求めるものを与える・・・この人ならではの愛し方なのでしょうか?
きっと誰が何と言おうとも、陛下は幸せだったと思います。
まちこさん!ステキな作品を有り難うございました!



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