星灯



貴女は・・きっと・・今頃・・
目まぐるしく行き過ぎる日常の中で
自分の居場所を創る為にせいいっぱい、
がんばっているのでしょうね。

今夜の星空もあの日のように美しいですよ・・
まだ、貴女が隣りにいたあの頃と同じに。


想いを飛ばしましょう・・・今だけ。
誰も居ない。
此処にいるのは私きりなのだから・・・
すべて隠さず告げましょう。

この星灯の下で瞬きを数えながら・・
遠くで・・
もしかしたら見ているかも知れない貴女へと――。




これから先・・・
二度と再び、この目に互いを映す日が来なくとも・・・
なんら障害にもなりえない。

今も私の心の中に息づいている想いは欠片ほども褪せるはずもない

貴女がいて私がいて・・・
ささやかでも・・・・
確かに"幸せ"と称される日々があったのだから。

解っている―――。
貴女がどんなに愛していたか・・。
迷いを越えて決めたその心の目映さを・・

信じている―――。
ひたむきに込められたその情熱で
扉を開けた日々をきっと素晴らしくするに違いない、と。

願っている―――。
躓きも、・・苛立ちも・・。
すべてを前に進む為のチカラへと換えられる、と。

愛している―――。
貴女と私をつなぐモノがたとえこの星空だけだとしても。

そして・・祈っています。
貴女の往く路に・・・
常に光の在ることを・・・

変わらない笑顔のままで居て下さい・・・いつまでも。







つい・・埒のないことを思ってしまいますね・・・
こんなに感傷的になってしまうのは
あの日に良く似たこの星空の所為だと言ったら・・
貴女に怒られてしまうでしょうか?
それとも・・・笑われてしまうかもしれませんね。

もし、困ったら・・・
悲しいことがあったなら・・
頼って欲しい。

いや、そんな理由は一切なくとも・・

ほんの少しだけ・・・思い出して欲しい・・と
そう願う私は・・・貴女が思うより・・ずっと弱虫です。

だから・・
今夜は早めに休みましょう・・・
貴女に夢で逢えることを、そっと願いながら。




〜FIN〜




【玄関へ】