いつもと同じ・・。
夜更けの月が窓から淡い光を落としている。
何度も何度も視線は本の上を滑っていても、その指がページを繰ることない。
例えば・・・・。
宮殿に向かう道の途中で
執務の合間のティータイムで
夕暮れの中行う、会議で
星達が瞬く、優しい眠りの中で
そんな、何処にでもある日常も貴女という存在がいたからこそ・・・。
こんなにも鮮やかな色彩を放っていたのだと言うことに。
どうして、もっと早く気づかなかったのだろう。
貴女がこの地を去る前に・・・・・・・。
もし、気がついていたならば。
小さく落としたため息の後、
真っ直ぐ見上げる空で輝く月も、
月の柔らかな光に照らされて煌めくはずの室内も
貴女がいなければ・・・。
色の持たないモノクロの世界。
どんなに鮮やかな光が世界を包んだとしても。
私の瞳に映るのは
このページと同じ。
もっと早く、気がついていれば
この永久にも続きそうな時間の中でも
きっと、失わずにすんだのだ・・。あの輝くほどに零れ落ちる色彩の世界を・・・・・。
小さな小さな・・。
生きている輝きを・・・。貴女のその金の光の中で。
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