In Your Eyes
(お題「キャンドル」)




聖地に雪が降る・・。

新女王が即位して数ヶ月。
この聖地で初めてクリスマスが行われる事になった。
現女王は、いいと思った事ならば、それが慣例にあろうが無かろうが押し切る行動力とパワーを持った17歳。

この聖地に住む者にとって初めてのクリスマス。
町中では、大人も子供もみんな、少しだけ頬を上気させてその日を待ちわびている。

そして・・私はその人たちと違った意味で、その日を待っている。
1枚のカードを送って・・。そして・・・

クリスマスイブを前に女王府から、この聖地に住む全ての者に配られたのは、つい昨日の事。
クリスマスイブの夜は、聖地中の電飾を落とし、その光源だけが、聖地を彩るたった1つの光となる。

その・・・燃える紅い焔に、全てを託して・・。

約束の時間を違えず、その人はその場へやってきた。
雪の舞い散るこの寒さよりも、もっと冷たい氷の碧。

そっと2本のキャンドルに灯をともせば、
貴方の氷の碧の中で、燃える赤が大きく揺れる。

右に左に、上に下に・・揺れる焔はまるで私の心と同じ・・・。

「急に呼び出して、どうしたんだ?」
そっと、長い髪に舞い落ちる雪をその綺麗な指先で払い落としてくれる。

「今日は、クリスマスイブですわ・・。陛下が・・。」
「陛下が?」
きっと答えは分かっているのだろうけど・・
「今日位は・・お互いに普通の女の子に戻りましょう・・と言われて。」
「なるほど・・。」

いつもと違い、街頭のないこの場所は、本当に聖地かと思われる位に不思議でそして幻想的に広がる。
かける言葉が無くても、その瞳だけで十分・・・。

貴方の氷の碧を解かす、キャンドルの紅の焔。
瞳に映る私も解かして・・。
焔の中で貴方の碧と混ざり合って・・そして。
このキャンドルが無くなったら・・・。今度は、私をその氷の碧に閉じこめて。
貴方のキャンドルで
私の瞳の貴方を解かして・・そして私の瞳に貴方を焼き付けて・・・。

この先もずっと・・瞳の中に・・・永遠に。





■紫苑さんからのメッセージ
・・あ・・あはは(乾いた笑)
キャンドル・・というお題を見た瞬間にデスね・・。
浮かんだのが碧と紅。氷と焔・・だったんですね・・。
(オスカー様のアイスブルー(氷の碧)の瞳とその中で揺らめいているキャンドルの紅い焔・・・です・・・/汗)
瞳の中に映る自分・・それが自分の思う人ならばなおさらに、出来ればずっとずっとその瞳に閉じこめてほしいなぁ・・と・・。

■管理人より
クリスマス企画の投稿掲示板で、「キャンドル」というお題に紫苑さんが書いてくださいました!クリスマスの雰囲気溢れるオスロザです。
イブの夜だけ普通の少女に戻って愛する人の下へ・・・・・ロマンティックなストーリーと美しい色彩の描写をお楽しみください!



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