見渡す限りの黄色。 お日様の化身のような、お日様を慕い続けるような・・。 そんな一面のひまわりの大地。 「・・・凄い・・・・・。」 そのひまわりに負けないくらい、太陽の光を受けてきらきら輝く金の髪を揺らめかせながら。女王候補の1人、アンジェリークが嬉しそうに大地を跳ねる。 「ルヴァ様!見てください〜・・もう見渡す限りのひまわり畑ですよ!こんな所が飛空都市にあったなんて私知らなかったです!」 「ふふ・・喜んで頂けて嬉しいですよ〜。あ、でも気をつけてくださいね?転んで怪我でもしたら・・。」 地の守護聖ルヴァが懸念したとおり・・と言うか。 案の定走り回っていたアンジェリークが急にひまわりの中に消えた。 「いった〜・・。あはは・・やっちゃいました。」 ぺろっと軽く舌を出して肩をすくめながら恥ずかしそうに苦笑いする。 「大丈夫ですか?・・。」 近づいて、隣にしゃがみ込んでそっとその横顔を見つめる。・・・本当に心配そうに・・。 この飛空都市に来て、もうかなりの時間が過ぎている。 もしかしたら・・・ 今日が最後の日の曜日になるかもしれない。 私か、ロザリアか・・。未だに、どちらが女王になるか見当もつかないほど、その力は拮抗しているけれど・・。 でも、感じる。 大陸に満ちあふれていく力を。 そして、もうすぐ、力は満たされ、この大陸は大きく花開くだろう。 新しい宇宙の受け皿として・・。 「アンジェリーク?」 不意に黙ってしまった私に、ちょっと困ったように問いかけてくるルヴァ様。 いつからか、私の心の中に入り込んで。近頃では、ルヴァ様の言葉に行動に・・一喜一憂している私がいるの。 女王になることがどういう事かは分かっている。 でも、私はこのままで・・・。 こんな中途半端な気持ちのままで、果たして女王になれるのだろうか・・。 もし、女王になれなかったとして、この気持ちのままで、主星に帰る事などできるのだろうか・・。 「大丈夫ですか〜?どこか・・痛いところでも?」 だんだんと、その穏やかな笑顔に広がっていく心配の表情。 「違うんです!ルヴァ様。」 多分。きっと・・・今の私は思い切りせっぱ詰まって今にも泣き出しそうな顔をしてる。 あぁ〜・・。こんなんじゃ心配させるだけだって分かってるのに・・。 でも・・・・ 「ルヴァ様・・。試験はきっと、もうすぐ終わりますよね・・。私か、ロザリアかが女王になって・・。」 「そうですね・・。よく今まで頑張ってきましたね。アンジェリーク・・。」 やっと言葉を発した私に、少しだけ安堵の表情が加わる。・・・・・その瞳が揺らいだのを私は気がつかなかったけれど・・。 小さな子供をあやすように、そっと軽く髪をなでる。やっぱり・・私は今かなり泣き出しそうな雰囲気なんだろう。 でもそれは・・。 「私、女王になったら・・。もっともっと沢山の笑顔が見れるように努力したい。ロザリアが女王になっても、彼女が許してくれるなら補佐官になって一緒に宇宙を守る手伝いがしたい・・。ロザリアがどう思ってるかは分からないけれど・・。」 「大丈夫・・。きっとあなたと同じ気持ちですよ?」 「・・・ありがとうございます。ルヴァ様・・・・。でも・・・。」 「でも?あなたには、まだ他にも不安があるんですか〜?」 「あります・・・・。」 まっすぐに、私の思いの全てを乗せた視線がルヴァ様の視線を捕らえた。 それから・・・・どのくらいそうしていたのか・・・・。 いつもと変わらない瞳の中に、少しだけ・・・。いつもと違う、苦悩の揺らぎが見える。 もしかしたら、私の思いはルヴァ様にとっては迷惑なだけなのかもしれない。 それでも・・・・。ここで、今。伝え無ければきっと私は後悔するだろう。 すっと、何かを発しようとしたルヴァ様の言葉を遮って・・・。 「ルヴァ様。私、その前に。女王になる前にどうしても・・。」 伝えたい事がある・・。 そう言おうとした唇に、すっと長くて綺麗な人差し指が重なって、私は言葉を止めてしまった。 「その先は・・どうか言わないでください。アンジェリーク。」 切なげに細められた瞳から、何かの感情がこぼれ落ちている。それは分かるのに・・。その感情が何か私にはわからない。 「アンジェリーク・・。私は、あなたのことが好きですよ?でもきっとあなたが私に思う好きとは違います。」 「・・・ルヴァ様・・・・。」 「だから、その先は言わないでください。聞いてしまったら・・。私はあなたに告げる言葉が見つからないのですよ・・。」 苦笑い気味に答えて指をはずすと、寂しそうにつぶやいた・・・。知識を司る守護聖なのに・・私はあなたにかける言葉が見つからない。と・・・・。 「・・・わかりました。」 「ですが、アンジェリーク。私は守護聖として・・・このサクリアが尽きるまであなたに忠誠を誓います。この宇宙の誰よりも守護聖の誰よりも深く・・・。・・・風が出てきましたね・・・。帰りましょう。試験ももう終盤です。今、体調を崩してしまっては今までの努力が台無しになるでしょう?」 座ったままだった私をすっと立たせると、ルヴァ様はいつもと変わらない穏やかなほほえみでそう告げる。 「・・・・・・・」 無言のまま、ただ黙って後をついて・・・どうやって私は寮に帰ってきたのか・・。 それからただ、流れるままの涙をそのままに、一晩中泣き明かして・・。 それでも、無情にも朝はやってきて・・。そして数日の後、私はこの宇宙の女王となった・・・。 聖殿に・・新しい女王のサクリアが満ちている。 これでいい・・。きっと。 自分の執務室からそっと、女王の住まう奥の宮を見つめて・・。 そっと人差し指に口づける。 あのとき、本当は告げたかった。 あなたを愛していると。女王の座を捨て私とともに生きてほしいと・・・。 本当はそう告げたかった。 まっすぐに見つめるその瞳に乗せた言葉が私に届くたびに、そう思ってこぼれ続けた私の心。 それでも、私は踏み出すことができなかった。守護聖という自分から。 すでに女王のそれにふさわしいだけの輝きを放つ貴女に踏み出す勇気がなかっただけ。 最後に、触れた人差し指にもう1度口づけて・・・・。 ・・・・・・・・・・女王になろうと、そうでなかろうと・・・・本当は貴女のことを愛しているんですよ。アンジェリーク・・・・。 ・・・気づいた方・・・いらっしゃいますね?(汗) 実はとっても似た話を、わたくし以前に書いてます。 わかっててなぜ書いたのか・・。 いや・・。書きたかったのは最後に出てくるキス。 そう、ルヴァ様がするキスが書きたかったっていうのと。 単に、自分がこのシチュエーションが好きだから(・・・をいまて!!) ん〜・・・唇に指当てられるの・・・好きなんですよ私・・ そう言うわけで・・・・。 すいません!ほんとう、ごめんなさい〜!!!! (久々にルヴァリモ書いたけど、やっぱりこの2人大好きだなって再確認できました)
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