『どうして・・・ルヴァ様・・・・』 

残された最後の時間に貴女が問いかける。 

 

『なぜなの?あ・・貴方なら・・貴方だったら!構わなかったのにっ!』 

貴女の瞳からこぼれ落ちる雫が、貴女の声が・・・・・ 

 

 

 

 

これで、解放されると。全て終えられると思っていたのに。 

 

また、私を捕らえて離さない。 

 

 

 

 

この思いが恋でなけでば 

 

せめて、相手が貴女でなければ 

 

こんなにも苦しむ事などなかったのかもしれません。 

 

 

 

 

 

この思いをもっと早くに知っていれば 

 

せめて、貴女の思いを知っていたなら 

 

こんな結末を迎える事はなかったのかもしれません。 

 

月 涙


「苦しいですか?アンジェリーク・・。」
声に反応してやっと開く瞳。
「ルヴァ・・様。」
「起きあがってはいけません、貴女の身体は今、普通の状態じゃないんですから。」
3日ほど前のこと、謁見の間で倒れた女王補佐官アンジェリーク。意識のなくなった彼女から放出されるサクリア・・・それは・・・・。
「私。・・・。」
自分の体内でめまぐるしく何かがうごめいているのが解る。それは、少しずつでも確実にアンジェリークの身体と精神を蝕んでいく。
「・・・・貴女に、お話ししないと行けないことがあるんです。その前に1つだけ、聞いてもいいですか、アンジェリーク。」
すっと手を翳せば、緩やかな地のサクリアが彼女を包む。彼女の体内へと流れ込んだそれと反応してアンジェリークを蝕んでいるそのうごめきが止まる。
「少しは楽になったでしょう?」
「はい。とても・・・ありがとうございます、ルヴァ様。・・あの聞きたい事って?」
真っ直ぐに見つめ返すその瞳、あの頃から何も変わっていないのに。
「貴女と、ジュリアスのことを・・・・。」
「ジュリアス様?ですか・・・。」
「えぇ。先ほど、ジュリアスが皆の前で宣言したんですよ。自分が思っているのは貴女ではなく陛下だ・・・と。」
「そうですか・・。もう、隠しておけなくなったんですね。」
「じゃあ、やっぱり本当なんですか?・・・ジュリアスと貴女が親密にしていたのは、陛下との・・。」
「隠していた訳では無いんです。ただ、陛下もジュリアス様も幼い頃からずっと女王や守護聖になるために生きてきた方だから・・・・。でも、私、それって悲しいことだと思って。愛するって事が解らなければ、全ての物を愛するなんて無理でしょう?何か大切な物が、大切な気持ちが有るからこそ人は、誰よりも優しく、そして強くなれるんですもの・・・・。」
もしも、私がもっと早くに自分の気持ちに気が付いていたら、
もっと、素直に貴女に気持ちを伝えていたなら、
もっと、勇気ををだして、噂を信じずに真実を聞けていたなら
貴女がこんなに苦しむことは無かったのに・・・・。
貴女にこんな罪を着せることも無かったのに・・・。
「・・貴女の身に起こったこと、きちんとお話しなければいけません・・・。」
ゆっくりと窓辺に向かって薄いカーテンを開けば其処には全てを見守り全てを知り尽くしたかのような満月が浮かぶ。
「それは、私の中にルヴァ様のサクリアが流れ込んでいることについて・・・・ですか?」
「えぇ・・・そして、それを食い止める方法も・・・・。」
「・・・・・・・・・封印するしかないのでしょう?もう他に・・・・。」
「アンジェリーク・・・。」


ぽたん・・ぽたんと・・・・。
滑るように流れ落ちる涙の雫。
「どうして・・・・ルヴァ様。」
ゆっくりと振り返った私の目に飛び込んでくる貴女の涙。
満月の光だけが差し込むこの部屋の中で、それはさながら宝石のように輝いて、私の思考を止めていく。
「気づいていたのですか、最初から・・・。」
「初めは気が付きませんでした。ルヴァ様が陛下にサクリアの消失を告げに来てから1週間ほどは。 でも気が付いたんです・・・。私の中に、ルヴァ様と同じ気配が有ることに。」
「それなら何故・・。そのときなら、貴女が封印されることなど、ましてや罪に問われることなど無かったでしょう!」
「・・・・・じゃあ何故?ルヴァ様は私に禁断の法を使ったの?」

3ヶ月・・・。
ルヴァが陛下の元へサクリアの陰りが見え始めた報告した。でも・・・。
「貴女を、誰にも渡したく有りませんでした。たとえ罪に問われても、禁断の法を使ってでも貴女を私の物にしたかった・・・・。ジュリアスと貴女が話しているのを見て、嫉妬していました。 ・・・もうどんなに思っても、貴女が私の方を見てくれることなどないと、そう。思ったのです。 」
ゆっくりと近づいてこぼれ落ちる涙を指ですくうと、指の上で輝く真実の輝き。
「そして考えたのですよ。どうしたら貴女と離れないですむかと・・・。どんなに思っても貴女が私を見てくれないのなら・・。心が私の物にならないのならいっその事、貴女をそのまま閉じこめてしまいたかった。私のサクリアを持ったまま封印することが出来たら、貴女は2度と目覚めない。他の誰かを思うこともない。私だけが、同じサクリアを持つ私だけが貴女を見つめて行くことが出来る・・・」
「あ・・貴方なら・・貴方だったら!構わなかったのに!・・・・・・」
「・・・・・私にはとても聞く勇気が有りませんでした・・・・・。貴女は先ほど誰かを愛することで優しく、強くなれると言った。でも私は・・・、私には出来なかった。貴女を独占したいと思う気持ちしか持つことが出来なかった。」
「・・・・・・ごめんなさい・・・・。私が、悪いんですよね・・・・。」
「いいえ。貴女に何の罪もない。罪が有るのは私1人・・。全てが終わった時には罰は私1人で受けなくてはなりません。宇宙を導くためのサクリアを、個人の私の勝手な想いで暴走させ、罪もない貴女を陥れたんですから・・・・。ただ。貴女を独占したいがために。」
「・・罪は、私にもあります、気が付いていながら、私はそれを喜んで受け入れたんですもの・・。 陛下に謁見に来たあの日。わたしてくれた”月の涙”私は知っていながらはずさなかった。」
しゃらんと首元から差し出す1粒の輝き。
「ルヴァ様のサクリアが流れ込んでくる時、私はとても幸せだった・・・・。だからこれが宇宙に対する罪なのだと知っていても・・、結末がどうなるか解っていても私ははずすことなんて出来なかった。」

禁断の法・・・・・
自らのサクリアを強制的に誰かに預ける行為。
異変、及び緊急事態が起きた時、サクリアを絶やすことが無いようにと遙か昔、宇宙がそれほど安定しておらず、頻繁に守護聖に危険が降りかかっていた時代の慣習。
だが、それには代償が伴う。故に今では禁断とされている法。
そう・・・・もともとサクリアを持つ星に生まれていない者が一定量以上のサクリアを持った場合、耐えきれずにサクリアごと消滅してしまうこと。そして、一度預けられたサクリアを返すことは不可能なこと。そのため、サクリアを預けられた相手は例外なく、封印という形を取って、サクリアが無くなるまで聖地最奥の祭壇に安置される。・・・・・そして、サクリアがつきた後は・・・
「共に・・・・墜ちてくれるのですか。永久の闇の中へと・・・。」
「ルヴァ様と2人なら、何処だって幸せになれる。」

ゆっくりと二人を取り巻いてサクリアが満ちる。
意識を、肉体の動きを止め、そしてただサクリアを放出する道具となるために・・・・・。
 

 

 

この思いが恋でなけでば 

 

せめて、相手が貴女でなければ 

 

こんなにも苦しむ事などなかったのかもしれません。 

 

 

 

 

 

この思いをもっと早くに知っていれば 

 

せめて、貴女の思いを知っていたなら 

 

こんな結末を迎える事はなかったのかもしれません。 



2600HITまちこです。様のリクエスト『ぶら〜あっくvv【バリバりとっぷりORほんわか風味】なルヴァリモ♪』&
ルヴァ「この思いが恋でなければ・・、せめて、相手が貴女でなければ・・こんなに も苦しむ事などなかったのかもしれません。」
リモ「どうして?!なぜなの?あ・・貴方なら・・貴方だったら!構わなかったの にっ!」
の台詞を作中に入れてください・・。

・・ぶ・・ブラック?・・・・
に、なっていますでしょうか??/汗
た・・ただのシリアス・・っという感じもしないことも・・・
しかも、台詞、分割してしまって(滝汗)
でも、興味があった(ブラックルヴァ様♪)ジャンルなので
自分なりに考えて書いてみましたが・・・・(撃沈)
・・・・む・・・・難しかったです〜。
ですが!気持ちだけはこもっています!!まちこです。様に”愛を込めて”・・捧げます!!(いらんわい!!って言われそう・・・)


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