砂のつぶやき(2) ―――私は感動していた。 それはゼフェルからもらう、初めての贈り物だった。 おそろしく素直でない態度だったが、要するに照れていたのだろう。 ちょっともったいないような気持で茶色い紙袋を開けてみると、中から出てきたのは、小さな砂時計だった。 砂時計の木枠には珍しい彫刻が施されていて、私には一目見てそれがゼフェルの彫ったものだと分かった。 優美さとはかけ離れた荒削りなデザインには、そのくせ丁寧にヤスリがかけられていて、大胆さと繊細さが絶妙に入り混じった、なんともいえない独特な魅力があった。 ガラスの中の着色されていないさらさらした砂を見ると、急に懐かしさに胸がつまった。 私は何気なく、手の中の砂時計をひっくりかえして見た。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 さらさらと流れ落ちる砂を見ながら、私はしばらく言葉を失ってしまった。 どういう仕組みになっているのか分からないのだが、砂が流れ落ちる時に、何か微かに風のような音がしたのだ。 ただ零れ落ちる砂の音というのではなく、私にはそれは何か砂丘に吹き付ける風に舞う砂の音のようなに聞こえた。 それはとても優しい・・・・・なつかしい音色だった。 しばらく私は魅入られたように、何度も砂時計を引っくり返しては、その音に聞き入っていた。 ゼフェルは知っていて、これを私に贈ってくれたんだろうか? とにかく私はその砂時計がとても気に入ってしまった。 ゼフェルが初めて私にくれた贈り物、ということもあったが、この砂時計自体が何だか妙に気に入ってしまったのだ。 私はゼフェルへの感謝とともに、その砂時計をいつでも手に取れるよう、書斎の机の上に飾った。 |