〜真実の絆〜

プロローグ
エリューシオンとフェリシア。2人の女王候補が育てた新しい宇宙の大陸。滅びに向かっていた宇宙を救うために選ばれた場所。255代女王は宇宙の滅びの速度を食い止め、そして256代新女王は自らが育てたこの宇宙へと星々を移動させた。大陸に力が満ちたその直後に・・・。
そして、歴史は繰り返す。先代の交代と同じように、また、この女王も自らの恋を振り切り女王となった。
第256代女王アンジェリーク。
”私にはできなかった。宇宙の人々の助けを呼ぶ声を無視することが。エリューシオンの民の喜びの声を無視することも。・・・・でも私は貴方を忘れた訳じゃない。たとえこの世で結ばれることがなくても、いつかきっと女王としての役目を終えたとき、私は貴方と巡り会える・・。そう信じている・・。”
そう、これは誰かに命令されたわけでも、強制された訳でもない。
女王のサクリアを持つ彼女が自分自身で決めたこと。彼女の選んだ道。そして
”私は、貴女に後悔してほしくないんです。貴女の涙を見たくはないんですよ。わたしの望みは、貴女が笑っていてくれることです、アンジェリーク。たとえ貴女が女王となっても、私たちは離れるわけではないでしょう?この聖地で一緒に宇宙を守っていけるんです。だから、貴女にとって今何が一番大切なのか考えましょう。何ができるのかを・・・”

聖地の宮殿内にある宣誓の間。旧宇宙から新宇宙への移動が行われたのは昨日のこと。第256代女王の即位式が宣誓の間で始まる。
迷いのない凛とした声で、背筋を伸ばし前を見つめる少女。わずかに揺らめく瞳は、そのまま心の迷いを映し出しているようで、それを理性で抑えているようで。
即位式に出席していた守護聖の最末尾、地の守護聖ルヴァは、その瞳を見つめ静かに微笑む。
”大丈夫ですよ。貴女の気持ちはわかっています。私も貴女と同じ気持ちです。貴女と、そして貴女の守るこの宇宙と両方愛していますよ。ね?”
すっと一瞬だけ瞳を伏せ、前を見上げた女王の瞳には、もう迷いは存在しない。ただまっすぐに前を信じる物を見つめ艶やかに微笑んだ。
そう、これは私が望んだこと。彼女の笑顔を見たいと決して後悔して泣くことがないようにと・・・

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