9.ターゲット

HeiLong



「あの地の守護聖、地下を掘らせろと言って来ました。」
慌てた顔でジャレドが報告に来た。
気の小さい、愚かな男だ。
やつがそう言い出すのは当然の成り行きではないか?むしろ言い出すのが遅すぎたくらいだ。


「それで・・・?あなたは何と返事したんですか?」
「申請に時間がかかるので数日待てと、そう言ってあります・・・・。」
「結構・・・・。」
いいだろう、ジャレド。お前にしては上出来だ。こちらは30分も稼げれば十分だ。俺もどのみち痺れを切らし始めていたところだ。


「しかし、急いだ方がいいでしょう。明日になればまた何か調べて騒ぎ出すかもしれません。今夜中・・・いや、今すぐに、お連れしてください。手はずどおりにね。・・・・後は私がおもてなししましょう。」
「分かりました。ヘイロン殿。」
うなずくと、ジャレドはせかせかと出て行った。愚かな男だ。お前の役目もそろそろ終わる・・・・。




ゆっくりと紙巻タバコに手をのばす。
興奮でぞくぞくして、指が震えてしまいそうだよ。




――ようこそ、地の守護聖様、だ。

俺はあんたに会える日を長いこと楽しみに待っていたんだぜ。

なぜならあんたは、俺の憎しみを掻き立てずにはいられない存在だから。

俺が憎むものすべて、俺が捨てたものすべて・・・・あんたはそれを代表している。

俺が否定するものすべてをあんたは厳然と肯定している。

目障り、だ。

消えて欲しい。

あんたも・・・・あの星も・・・・。


手始めはあんただ。

次は、あの星。

その後は、辺境のごみ粒みたいな星どもを一つずつ片づけて、女王とその取り巻き連中をへとへとにさせてやる。

その後で訪れる恐ろしい闇に、あんたのお仲間達は立ち向かえるだろうか?



・・・それはまあ、俺とあんたにはどうでもいいことだ。

あんたのために、スペシャル・ツアーを用意したよ。

行き先は地獄。あんたは既に招待状を手にしている。

時間をかけて、すみずみまで楽しんでくれ。

そして・・・楽しませてくれ・・・・私のことも。

本当のところ、俺は遺跡も聖地もどうでもいい。


俺のターゲットは・・・・地の守護聖・・・・あんただ。



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