時計仕掛けのI Love You3

Olivie



走り去っていくアンジェリークを、私は追わずにただ黙って見送った。

だってアンジェリーク。
あんたが思ってるほど、私も強くないからね。
こんなのやせ我慢でしかないよ。

まっすぐな目で見つめられるたびに、
心の中まで届く無器用で正直な言葉を聞くたびに、
頭と心が離れていった。
心があんたに、ひた走るのを感じた。

傷つくあんたを見てられない。
あんたの泣き顔見るくらいなら、自分がずたずたになったほうがいい。
抱きしめたい。守ってあげたい。
あんたが背中に背負い込もうとしてるものの重さだって、私はちゃんと分かってるつもりさ。


だけどね・・・・・。


あんたが幸せにしなきゃいけないのはあたしじゃない。
あんたを私の腕の中の、箱庭みたいなちっぽけな幸せの中に閉じ込めるわけにはいかないんだ。

あんたの羽は真っ白で力強い
それは空を翔けるための、本物の天使の翼だよ。
あんたなら飛べるから。
きっと、できるはずだから。



悲劇だとは思わないよ。
あんたに会えてよかったし、あんたを愛してよかった。
愛してるといってくれて、心底嬉しかった。

自分のものにできないからと言って、私は愛することを止めたりしないよ。

愛してる・・・・
愛してる、 アンジェリーク。


いつも見守っているから

その胸から、夢が枯れないように・・・・・。



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