時計仕掛けのI Love You4

Olivie



アンジェリークが新宇宙に旅立つ日、私は空港に彼女の見送りに行った。

行かない方がいいかとも思ったけど、・・・ やっぱりそんなことない。
新しい門出だものね。ちゃんと笑って見送ってあげないと。

出発間際、アンジェリークはロビーで見送りに来た守護聖たちと談笑していた。
その表情は思ったより明るくて、私はすこしほっとした。
見た目よりずっと芯の強い子なんだ。それは知ってたけど・・・。

いよいよ出発という時になって、アンジェリークはふと見送り人の輪を抜けて私のほうに歩み寄ってきた。

「オリヴィエ様!」
アンジェリークは私に向かって顔をあげると、にっこり微笑んだ。
「いろいろお世話になりました。お元気で・・・・・。」
目じりに浮かびかけた涙を、あの子はぐっと表情に力を入れて、我慢してみせた。

「頑張るんだよ」
「はい!」

思いっきり無理した笑顔で笑うと、アンジェリークはくるりと背を向けた。
そのまままっすぐに、顔を上げてゲートの方へ歩いていく。


ああ、やっぱり強いね。あんたは・・・。

あんたは心を決めて、覚束ない足取りで、でもひたむきに前に進もうとしている。
あんたはね、そのひたむきさが美しいんだ。





・・・・・・弱いのは私の方かもね。



シャトルが離陸して見えなくなっていく。
同僚達がみんな引き払っていったその後も、私はいつまでもその場を離れられずに、いつまでも空っぽの空を眺めていた。



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