愛と言ふ花




私は、何も知らなかった・・ ・・

どんなに貴方が、
私を想っていて下さったかを。
・・どんなに私が、
幼くて、愚かしかったかを。

貴方は、私を只の私として立場も何もかも投げ打ってただ・・望んで下さっただけなのに・・

自分から・・貴方の熱い胸を拒んでしまった・・未知への扉を開けるのを怖がって。

あの日、貴方の苦渋に満ちた眼差しが、
私の過ちを露わにした。

貴方を傷つけた・・
臆病さにも似た優しさを持つ人を。

誰かを傷付けるより、
自分で血を流す事を選ぶ
・・そんな男(ヒト)を。

貴方の思いを写し取った
烈し過ぎる抱擁に怯えてしまったの・・・


突然、泉に投げ込まれた小石に・・・
小石が、喚び出す波紋に、
驚いた小鳥みたいに飛び立ったのは・・・
今までの関係を壊してしまうのを恐れた臆病な私。


本当は、誰より・・好きだった・・
今でも、ずっと・・好き。・・なのに。

気付くのが遅過ぎてしまった恋。
自分で踏みつけてしまった恋。

だけど。
私の胸の奥で芽吹いた思いは、
懸命に生きたいと願っているのです。

どんなに今から望んでも、
この想いを育てる事は、
貴方を苦しめる事にしかなりませんか?


今更・・どんな言葉で繕ってみても、
貴方に負わせた傷は消えない。 ・・けれど。

"貴方"という・・かけがえの無い大地に、
ほんの・・ささやかな・・私の・・
"愛"という花を、
咲かせる事は・・適いませんか?

貴方に心を届かせるには・・
どうすればいいの?

愚かで・・臆病な私に・・勇気を下さい。
ありのまま、貴方に心を託せるように・・

取り返せない過ちは無いのだと、信じる勇気を・・私に下さい。


変えられるものを変える勇気を。

FIN




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