想囁匣-orgel-3






試験が終わった日・・・
貴方がくれた言葉は本当に私が欲しかった言葉と・・違ってた。

「おめでとうございます。
貴女ならきっと・・
素晴らしい宇宙の母ともなれるでしょう。
・・・わたくしは・・信じていましたよ」

いつもと同じ微笑で同じ穏かさで・・告げられたせリフたち・・
貴方は、優しかった・・・残酷なまでに。


だから・・何も云わなかった・・ううん・・云えなかった。
この想いは封印しなきゃならなかったから。

「私・・いい女王になります・・ね・・。
だから、替わりにコレ・・持っていて下さい!」

泣き顔を見せたら・・きっと・・貴方を苦しめる。
とっさにリボンを解き、押し付けると、零れないうちに・・と逃げるように駆け出した。

姿が完全に見えなくなる前に涙は落ち始める・・・

―――貴方は追ってきてはくれなかった。

でも・・それが貴方の望みなら・・私の進む道はたった一つしかないから。



ずっと・・
それから宇宙(そら)を護った。
心を一部分だけ強く凝らせて・・・深く沈めて。

貴方とともに護れる事を・・その喜びだけを・・
恋の成就と引き換えにして。


切なくて・・穏かで・・・多分、幸せな日々・・・ずっと続いて欲しいと願ってた。
でも・・とうとう恐れた日がやって来た。

・・・貴方のサクリアが尽きようとしていた。



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