<Diamond Tears 0> 「それで、あなた達2人お願いしたいと思いまして・・。よろしいですわよね?」 ふんわりと優しい微笑みを湛えて、女王補佐官のディアが告げる。 向かい合った3人の中央のテーブルには、 ポストカード型の招待状が2通。 女王試験が行われている、飛空都市の穏やかな午後。 少しさめてしまった紅茶をゆっくりと口に運ぶと、ディアはその柔らかい笑みはそのままに 「では、後のことはお任せ致しますわ、ルヴァ、オスカー・・。」 そう言ってこの話はこれで終わりとばかりにソファーから離れ自室へと戻っていった。 今朝の事である。 いつもの定例会議が終わった後、唐突にディアが告げた。 「今週の土の曜日の午後。クリスマスパーティを行います。」 試験が始まってから数ヶ月が立とうとしている12月の初め。試験はそろそろ終盤を迎える。 今の2人の力は同等。どちらが女王になってもおかしくない状況でありそして、その答えが出るのはそう遠くないであろう。 「ディア、それはどういう事だ?」 相変わらず、とも言おうか。最初に反応したのは筆頭守護聖である彼・・。光の守護聖ジュリアス。 「ジュリアス・・。確かに今は時期女王を決める大切な試験の最中。貴方がそう言われるのも無理はないと思いますわ。けれど、あの2人はとても頑張っています。そして、今度のクリスマスがきっと、彼女たちにとって自由に迎えられる最後のクリスマスになるでしょう・・。」 ここまで頑張ってきた女王候補達。 最後に何か想い出になるようなことをすることが悪いことでしょうか?と・・・・。 暗にそう告げられた言葉にジュリアスもそれ以上告げることを止めた。 ディアの立ち去った応接室に取り残されたルヴァとオスカーは、それぞれにその招待状を手に取るとどちらともなく視線を合わせて、軽く苦笑いを落とした。 どうやら、補佐官殿は気が付いているらしいと・・。 それぞれに託されたその招待状を手に取ると、ディアの後を追って応接室から退室した。
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